2022年度、国は予算より24兆円多く使っていました。

発表される予算の数字だけでは実態は見えません。 実際にいくら使ったのか、なぜ計画からズレたのか、その負担は誰が背負っているのか。 このサイトは過去5年間の国家予算を、計画と実績の両面から読み解きます。

この数字の見方

当初予算は年度の初めに国会で決める支出の計画です。決算は年度が終わったあとに確定する、実際に使った額です。 その差が大きいほど、計画と実績のズレが大きかったことを意味します。

ズレの主な原因は補正予算です。 災害や景気対策など年度途中の追加支出は、補正予算として国会の議決を経て上積みされます。 そのため決算は当初予算を上回ることが多くなっています。

本サイトの数字は一般会計(国の基本的な歳入・歳出)のみを対象にしています。 年金や道路整備など特定の事業に使われる「特別会計」は含まれていません。 また、決算は年度終了後の翌年秋頃に確定するため、直近1〜2年度は未確定です。

2026年度:当初予算122.3兆円(過去最大、2025年12月閣議決定)。国債費が初の30兆円超え。年度は2026年4月に開始。

1

何に一番お金を使う計画か

税収

83.7兆円

歳出(計画)

122.3兆円

赤字

38.6兆円

国債残高

1,179兆円

支出の内訳(当初予算)
2026年度 当初予算兆円
社会保障
39.1兆円

病院代、年金、介護、生活保護。あなたや家族が病気になったとき・老後に届くお金。

国債費
31.3兆円

過去の借金の返済と利息。新しいことには1円も使えないが、毎年必ず払わなければならない。

地方交付税交付金等
19.4兆円

国から都道府県や市町村へ配るお金。地方の学校、消防、ゴミ収集などに使われる。

防衛
9兆円

自衛隊の人件費、戦闘機・護衛艦などの装備品、基地の維持。日本を守るための費用。

なぜ防衛費は増えているのか(2022年比 +67%)

きっかけ:2022年のロシアによるウクライナ侵攻。加えて、中国の軍事拡大、北朝鮮の核・ミサイル開発、台湾海峡の緊張が重なり、日本周辺の安全保障環境が大きく変わった。

政策の転換:2022年末に安全保障関連3文書を改定し、5年間で43兆円の防衛力整備計画を決定。反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有も初めて明記された。

それでも国際的には控えめ:2026年度でGDP比 約1.6%。NATO加盟国の目標は2%で、米国3.4%、英国2.3%、フランス2.1%と比べるとまだ低い。

「戦争が起きた」のではなく「起きうるリスクが無視できなくなった」ための備え。平和だったから安かったものが、平和を維持するためにコストがかかるようになった。

公共事業
6.1兆円

道路、橋、堤防、下水道などの建設・修理。老朽化したインフラの更新も含む。

文教及び科学振興
5.8兆円

小中高の教科書・給食、大学への補助、宇宙・AI・医療などの研究開発費。

その他
11.6兆円

外交、食料対策、エネルギー補助、災害復旧など。予備費(使い道未定の予算)もここに含まれる。

深掘り — 最大の支出「社会保障」の中身

社会保障費の内訳(兆円
2026年度 当初予算。年金と医療で全体の約2/3。
生活保護費の内訳
総額約3.8兆円、約165万世帯。約半分が医療扶助。出典
医療扶助 46.5%
生活扶助 29.5%
住宅扶助 16%
その他 8%

受給世帯の8割が高齢者・傷病・障害世帯

世代間の負担構造
保険料 29.9兆→42.5兆円(24年で1.4倍)。内閣府

現役世代

保険料42.5兆円

負担

社会保障

年金・医療・介護

給付

高齢者

医療費 現役の約5倍

高齢者1人を支える現役世代の人数

9.1人

1970年

2.1人

2020年

1.4人

2040年(推計)

2

どこからお金が入ってくるか

税収

83.7兆円

借金(公債金)

29.6兆円

国債依存度

24.2%

予備費

0.5兆円

歳入の構成

税収借金(公債金)税外収入等
歳入の内訳(兆円
2026年度 当初予算。赤が借金。
ガソリン・エネルギー関連税
揮発油税 0.9兆 + 石油石炭税 0.7兆 = 計1.6兆円 出典

暫定税率廃止後の初年度。揮発油税収が前年比▲54%に急減。約1.5兆円の減収。ガソリン1Lあたり約25円の減税。税収▲約1兆円。

家計: 満タン60Lで税額 約1,460円 | 会社: 物流コストに直結

3

過去の年度ではどれだけズレたか

2026年度 — 予算と決算の差
2026年度の決算はまだ確定していません

確定後にここにギャップが表示されます。

カテゴリ別 当初予算の内訳(兆円)
社会保障39.1兆円

診療報酬+3.09%(30年ぶり)、高校授業料・給食無償化

国債費31.3兆円

想定金利3.0%に引上げ、初の30兆円超え

地方交付税交付金等19.4兆円

人口減少地域のインフラ維持費が増大

防衛9兆円

SACO等含め9.0兆円(整備計画対象8.8兆円)

公共事業6.1兆円

当初予算は10年以上横ばいだが補正込みでは実質8.6兆円

文教及び科学振興5.8兆円

核融合・量子コンピュータにも投資拡大

その他11.6兆円

エネルギー・食料安保関連が増加

合計122.3兆円

決算は年度終了後(翌年秋頃)に確定します。確定後にここで予算との比較ができるようになります。

出典:財務省「毎年度の予算・決算」概算値| この年度の決算は未確定

4

なぜこうなったのか

前年比の増減(当初予算、兆円
20252026年度。下の解説と対応しています。
社会保障+0.8兆円診療報酬+3.09%(30年ぶり)、高校授業料・給食無償化
国債費+3.1兆円想定金利3.0%に引上げ、初の30兆円超え
地方交付税交付金等+0.5兆円人口減少地域のインフラ維持費が増大
防衛+0.3兆円SACO等含め9.0兆円(整備計画対象8.8兆円)
公共事業±0兆円(横ばい)当初予算は10年以上横ばいだが補正込みでは実質8.6兆円
文教及び科学振興+0.1兆円核融合・量子コンピュータにも投資拡大
その他+2兆円エネルギー・食料安保関連が増加
2026年度の背景を読み解く進行中
2026年4月〜2027年3月この年度は現在進行中です。 政策・公約・社会情勢から予算の理由を解説(9件)

今後の論点

海外と比べると日本はどうか

予算の大きさは国内だけでは判断しにくいため、G7で比べます。 日本は借金の大きさが突出し、社会保障は高水準、防衛費は中位に位置します。

政府債務 対GDP比
G7で突出
社会保障 対GDP比
高水準
防衛費 対GDP比
中位

出典: OECD Economic Outlook 117 (2025), OECD SOCX (2024), NATO Annual Report 2024 | 防衛費はNATO基準の推計値

私たちが払う税金や保険料は、海外と比べて高いのか

税の負担感は、消費税だけでなく給料から引かれる社会保険料や、税と保険料を合わせた全体負担で見ると印象が変わります。

消費税は低め
日本10%
OECD平均19.3%

日本の標準税率はOECD平均よりかなり低い。

給与負担は平均近辺
日本32.6%
OECD平均34.9%

所得税と社会保険料を合わせた負担は、OECD平均と大きくは変わらない。

全体負担は中位
日本45.7%
OECD平均46%

税と社会保険料を合わせた負担はOECD平均とほぼ同水準。北欧は60%超、米国は32%。

比較対象や定義が異なるため、3つの指標は別々に見る必要があります。 出典:OECD Consumption Tax Trends 2024,OECD Taxing Wages 2025,財務省 国民負担率

消費税率が低いからといって負担が軽いわけではない。社会保険料まで含めると、日本の負担感は見た目より重い。

参考資料

本編(財務省公表の予算・決算データ)とは情報源や集計期間が異なります。 政党交付金は暦年データで年度選択に連動しますが、外国籍世帯の生活保護は公表データが限られるため固定値です。 報道機関の試算を含みます。

政党交付金(2026年)暦年・推計含む
総額 約315億円(1人250円)。歳出の0.03%。共産党は不受領。 家計: 家族会議の運営費 | 会社: 取締役会の活動費
外国籍世帯の生活保護参考・年度固定
受給世帯165万のうち外国籍は4.7万世帯(2.9%)。保護費全体の約1.5%。出典

生活保護受給100世帯のうち外国籍は約3世帯

日本国籍 97% 外国籍 3%

外国籍の方は法律上の受給権はなく、人道上の措置として自治体の判断で支給。金額は生活保護費全体(約3.8兆円)の約1.5%程度。(厚労省2023年度調査、衆議院予算委員会2025年2月答弁)

まとめ

  • 日本の予算は、社会保障と借金の返済で強く縛られている。
  • 発表された予算だけでは実態は見えず、決算との差を見ないと判断を誤る。
  • 税負担は、消費税だけでなく社会保険料まで含めて初めて実感に近づく。

この先、取りうる道は3つしかない

歳出の半分以上が固定され、借金依存が続き、金利上昇リスクを抱えている。この構造を変えるには、選択肢は結局3つに絞られる。

負担を上げる

増税や社会保険料の引き上げ

給付を下げる

年金・医療の水準を見直す

経済を伸ばす

成長で税収を増やす

現実には「経済成長だけ」で解決できる規模ではなく、3つの組み合わせが避けられない。しかし負担増も給付減も選挙で不利になるため、どの政権も選択を先送りし、借金で埋めてきた。それが国債残高GDP比237%という数字の正体である。

一番の問題は、国民が「自分がいくら負担していて、何に使われているか」を把握できていないことにある。消費税10%は知っていても、社会保険料で給料の約30%が引かれていることを正確に認識している人は少ない。どの選択肢を取るべきかを議論する前に、まず現状を正確に知る必要がある。

このサイトは政策の答えを出す場ではなく、答えを考えるための数字を見せる場です。

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用語ミニ辞典

一般会計
国の基本的な歳入・歳出をまとめた会計。本サイトの数字はすべてこれが対象。
当初予算
年度の初めに国会で議決される、その年の支出計画。
補正予算
年度途中に追加・変更される予算。災害対応や景気対策が主な理由。
決算
年度終了後に確定する、実際に使われた金額。
社会保障
年金・医療・介護・生活保護など。歳出最大の項目。
国債費
国の借金(国債)の元本返済と利子の支払い。金利が上がると増える。
地方交付税交付金
国から地方自治体に配分されるお金。地方の税収格差を補う役割。
特別会計
年金や道路整備など特定の事業に使われる別の会計。本サイトでは対象外。